フライングタイガーコペンハーゲン様


フライングタイガーコペンハーゲン ロゴ

Zebra Japan 様 取材記事
取材日時:2017年12月12日
話してくれた人:—古田秀治さん(Zebra Japan株式会社 店舗運営部部長)

フライングタイガーコペンハーゲンを運営するZebra Japan株式会社の古田秀治さんに、店舗の接客改善に取り組んだお話を伺いました。

フライング タイガー コペンハーゲンは「商品のその先にあるものを売っている」

—まず、フライングタイガーコペンハーゲンについて教えていただけますか?
フライングタイガーコペンハーゲン 古田秀治さん
フライングタイガーコペンハーゲン(以下「フライングタイガー」と略記)は、2012年に日本に上陸して5年目のブランドです。とてもカラフルでユニークなデザインの雑貨を扱っています。ほぼすべてがデンマークでデザインされたインポートブランドです。全世界に約900店舗あるため非常にリーズナブルな価格で提供できていますが、「安い」というより「Affordable(手の届く≒値段を気にせず楽しめる)」ことが特徴といえます。

フライング タイガーは、イケアさんと同じように、One Way Shopping(一方通行レイアウト)です。お客様のクリエイティビティーを刺激したいと考えているからです。入り口近くにある新商品からレジ付近のフードまで、くまなく店内を見ていただくことで、さまざまな商品との出会いを通して、「商品のその先にあるものを売る」という私たちの考え方をお客様に自ら発見して欲しいと思っています。「この商品とこれを組み合わせたらあんなことできそう」「あっ!この商品は今度のパーティーでこうやったら面白く使えそう」とお客様に楽しんでいただくことが、フライング タイガーというブランドが目指していることです。「モノを売る」というより「商品のその先にあるものを売っている」のです。他の雑貨店のように、「この商品はこれこれの機能があってこういう価格でお得でしょう?」というやり方ではありません。

フライング タイガーのブランドプロミスは「everyday magic」という考え方です。私たちがお届けしたいのは誰もが毎日手に入れられる魔法のようなアイデアです、そのアイデアを通じて毎日をもっとhappyにしたいと考えています。そのために今期もっとも力を入れてきたのは人と人を結びつけるきっかけや場の提案です。それによって生み出される「化学反応」はクリエイティブで「昨日より今日を」、「今日より明日を」素敵なものにしてくれると考えているからです。このことを一番表しているのは、デンマークを象徴的に表現する言葉のひとつであり、世界で最も幸福度が高い国と評価される理由とも言われている「HYGGE」という言葉です。私達のブランドの前提にもなっている考え方です。「人と人が結びつくことによって生み出される温かで居心地良い空間、そこで気の置けない仲間が集まって温かい時間を過ごす」と言えば良いでしょうか。店舗内は白いBOX什器と「ろうそく」をイメージしたペンダントライトで演出していますが、ろうそくはデンマークではWelcomeの象徴です。お客様を歓迎します、と一緒に楽しみましょうというメッセージです。すると、やはりスタッフのホスピタリティは重要になります。しかし、日本上陸当初はそういったマインドは強くありませんでした。

「接客」の課題への取組み

―接客の課題を感じておられた、ということですね?

そうです。実はショッパーズアイで覆面調査(ミステリーショッピング)を始める前に、それまでの「オペレーション指向」から「お客様指向に」という、サービスレベル向上のプロジェクトをやっていました。すると当然の成り行きで「毎月評価する仕組みが必要ではないか?」となり、覆面調査を導入することにしました。

―その頃の店舗はどういった状態だったのですか?

少し遡りますが、日本に上陸当初は、1号店が大阪アメリカ村ストア、次いで表参道ストア、ららぽーとTOKYO BAYストアだったのですが、いずれのストアも大行列となりました。店舗では、とにかく品出しとレジと行列のコントロールだけで手一杯…。接客は二の次、という状態でした。私が入社をした2015年も年間10店舗程度という出店ラッシュでした。そのような中、売上を高いレベルで維持しつつも、サービスレベルの向上に取り組む必要を感じていました。これは至難の業でしたが、スタッフの日々の努力のおかげで、良い結果をつくれました。日本ではドラッグストアでもちゃんと挨拶をしますよね?いくら良い商品を取り揃えても、いくらブランド力が強くても、接客をないがしろにするとお客様は帰ってきません。そもそも弊社の商品は、必需品ではありません。スタッフのホスピタリティや楽しさが大事ということです。接客の改善は、絶対にやらなければならないと思っていました。

しかし、ありきたりのことをしたくないというのがウチのブランドです。弊社の行動理念のひとつに「当たり前の小売業になるのはやめよう!」というものがあります。だから接客マニュアルにはしたくありませんでした。スタッフが、自分でお客様にどうやったら喜んでもらえるかを考えて欲しかったのです。

覆面調査の3年間の目標設定

―ショッパーズアイの覆面調査はどのように活用されていたのでしょうか?

まず、覆面調査は2015年6月から2017年11月まで約2年半、連続30ヶ月間実施しました。当初から200点満点中「全店舗が150点以上」!を目標にしていました(※註)。覆面調査を開始するに当たり、最初に次のような話をしました。2015年は「Must」。絶対やらなければならないことをしようと。例えば清潔な売場、身だしなみ、笑顔、コンセプトの実行、ご挨拶、誠実な対応などです。2016年は「ベスト」。例えば、心のこもった接客、卓越した商品知識、VMD、プラスαの接客ができるようになろう、と。2017年は「Excellent Store」。つまり、全ての店舗が見本になろう、接客を超えた感動を創ろう、と目指していました。

初回調査時は、全店平均が127点、150点以上の店舗は28%のみでした。その後一度調査票をリバイスしましたが、全店平均は最高で178点まで伸びました。そして2017年9月に全店150点以上を達成できました。当初3年かかると思っていましたが、2年半で終えることができました。
(※註)ショッパーズアイの覆面調査は、通常200点満点で評価を行っています

店舗へのフィードバックと、考える力が身につく取り組み

仕組みとしては、毎月の調査結果をストアマネージャーミーティングでフィードバックし、それを各ストアマネージャーが自店に持ち帰ってフィードバックをします。その際のポイントとなるのは、スタッフには「できたこと」を褒め、「できなかったこと」は責めるのではなく「課題」としてみんなと共有し、どうしたらできるようになるかを議論するということです。

そして店舗では、様々な改善の取組みを行っていました。例えば「印象よくするため」の取組みでは「買い物カゴを持って逆向きに回り、お客様を意識しながら買い物カゴを渡す」、「接客専用時間を決めてその時間は店舗をぐるぐる回る」「店舗独自で接客の見本のVTRを作成する」などです。いずれも店舗特性を生かしたアイデアであって、全店統一の活動ではありません。

ただ、地域グループでの取組みはあります。数店舗あれば、できている店舗とそうでない店舗があるので成功体験の共有も自然と生まれてきます。具体的にどういうアクティビティがどういう結果になったのかを毎月発表していくので、知識が溜まっていきます。店舗では、献身的に調査票を隅から隅まで見て、マーカーして、バックヤードに貼り付けて、毎月毎月課題を立てて取り組んだスタッフの努力が全てといえます。

覆面調査の評価点はストアコンディションとの相関が強かった

当初、覆面調査の評価と最も相関があるのは「売上」だと思っていました。サービスレベルの向上なしに売上の向上はありえない、と考えて取り組んだわけですから。しかし、今では最も相関関係が強いのはどうやらストアコンディション、つまり「皆が快適に仕事できているか」ではないかと考えています。例えば、店舗スタッフ間の関係が上手くいってなかったりすると、如実に点数が下がります。当たり前のことですが、笑顔は「出せ」と言っていって出せるものではありません、自然発生的に出ないとダメです。つまり、やり方がわかっているだけではダメなんです。これが、楽しく仕事のできる店舗であれば、笑顔も出ますし、お客様のとの会話も自然に増えます。アイデアもどんどん出てくるのです。ただ、売上の相関が無いわけではなく、評価がある一定のレベル以下になると、売上も下がってきます。サービスレベルが上がれば売上が上がるのではなく、一定のサービスレベルを維持しないと「売上は下がっていく」ということです。

意識を変えることが最も大変だった

―最も苦心されたのはどういったことでしょうか?

そうですね…なぜホスピタリティが大事か、このブランドはどこを目指しているのか、ということを皆に理解してもらうことには苦労しました。当初は「このブランドが接客やるなんて聞いてません」という人も多かったです。反発を感じているスタッフもいたわけですが、辛抱強く話を続けて理解を広めてきました。そうするうちに最初はストアマネージャーが、そして次第にアルバイトスタッフと理解の輪が広がっていきました。

覆面調査の点数も、初年度の2015年は急激に上がるということはありませんでしたが、2017年になってぐっと良くなってきました。満点が続出してきたのは2017年にはいってからです。ボトムアップの良い流れが作れました。

調査評価の結果は、期末のスタッフ考課に結びつけることが鍵

毎月覆面調査をしましたが、大事なのは「良かった悪かった」だけでなく、その結果をキチンと期末のスタッフの考課に反映させることが大事です。この仕組みになっていないと、モチベーションはなかなか続かないものです。

その上で、さらに、とても頑張っているスタッフへスポットを当てることが出来ないかと、そこで、調査票に新たに「輝いていたスタッフは?」という質問を入れて、日頃頑張っているスタッフを評価される仕組みも入れました。毎月の評価点がトップのストアで、ここで名前の挙がったスタッフには優秀スタッフとしてオリジナルTシャツをプレゼントすることにしたりしました。評価にしっかりと結び付けないと覆面調査は機能しなかったでしょう。それに、毎月やることが重要でした。調査員の主観が入ったとしてもガクっと落ちるのはダメです。「良いときもあるけど悪いときもある」というのは、「できてない」ということなんです。だから1回だけ上位になっても、弊社のストアマネージャーたちは喜ばない、というか喜べないですね。。

質問項目は、ブランドの基本的なフィロソフィー(コンセプト)に沿っていないとダメですし、「覆面調査の評価が良い→コンセプトを守っている→サービスレベルも上がっている」というように連動していなければなりません。

これからのフライングタイガー

―今後のフライングタイガーはどこへ向かっていくのでしょうか?

フライングタイガーコペンハーゲン 店舗画像ひとりでも多くの人に「HYGGE」を届けたいですね。今は23店舗ですが、老若男女全ての人が楽しめるすごく良いブランドと思っていますので、日本全国に広めたいと思っています。昨年からは「パーティー」をキーワードにしています。今皆さんが、パーティーグッズを買うにはどこに行ったら良いと思うでしょう?仮装グッズなら?紙コップ買うなら?ゲームアイテムなら?実はそれは全部フライングタイガーに有るのです。パーティーとなったらフライングタイガーを想い浮かべて欲しいですね。だからこそ、スタッフには「HYGGE」でいて欲しいし、イベントのオーガナイザーであって欲しいのです。