株式会社三越伊勢丹様


株式会社三越伊勢丹様 取材記事

・取材日時
2018年3月13日

・話してくれた方
上みゆき様(株式会社三越伊勢丹 百貨店事業本部顧客戦略部 顧客政策担当 カード企画推進担当部長)、
遠藤徳重様(株式会社三越伊勢丹 百貨店事業本部顧客戦略部 顧客政策担当 カード企画推進マネージャー)

株式会社三越伊勢丹のお二人に覆面調査の導入に至るきっかけ、調査結果の活用方法、今後目指していくことなどについてお話を伺いました。

 

—まず、御社やお二人の業務内容について教えてください
株式会社三越伊勢丹 上さん・遠藤さん
弊社グループでは、2018年3月現在 国内百貨店(三越、伊勢丹など)を26店舗展開しており、
私たちの部署では自社カードであるエムアイカードの新規獲得や利用促進の業務を担当しています。

エムアイカードは全国で約260万枚発行されており、弊社グループ全体売上の半分程度が
エムアイカードの売上となっていることもあり、エムアイカードの新規獲得・利用促進
を推進することが、弊社の事業活動の中で重要と考えています。

お客さまにとってはお得にお買い物ができるというだけではなく、
お客さまと弊社とのコミュニケーションツールになるというメリットもあります。
弊社からお客さま特性に合わせた情報を発信することができますので、
その情報を見て店舗にお買い物に来て頂くということもできるツールになっています。

 

―御社グループ内で重要な役割を担っているエムアイカードですが、昔から現在のようなポイント制のカードだったのでしょうか?

ポイント制に移行したのは2016年4月で、それ以前はエムアイカードでお買物していただいたその場でご優待(値引き)になるカードでした。
もう少し前を振り返ると、元々は三越と伊勢丹で別々のカードを数十年前から発行していました。2008年に2社が統合したことに伴いカードも統合され、
2016年にお買い物時の即時ご優待(値引き)ではなく、ポイント制へと移行となりました。ポイント制のカードとしては後発だったため、
ポイントの還元率は高く、貯まったポイントは次のお買物から1ポイント=1円として使うことができます。
また、航空会社2社とポイントの相互交換ができるようにしているなど、他社のカードも研究して、お客さまにとってメリットのある設計にしました。

 

―2社のカードの統合やポイント制への移行などによって、苦労した点などありましたか?

カードの統合やポイント制への移行があっても、既存会員のカード利用率は悪くはなりませんでした。
しかし、新規獲得(カードの新規発行)が2016年の夏頃から落ち込んでしまいました。
カードの統合やポイント制への移行によって、エムアイカードの内容やメリットについての十分な知識があり、お客さまに自信をもってお勧めできる
スタイリスト(注)が少なくなってしまっているのではないかとも考えられましたが、あくまで仮説でしかなく、確かなことはわかりませんでした。
そのため、カードに関するお声掛けや説明内容、カード発行を受け付けるカウンターでの対応などお客さまが体験する可能性のあるカード発行までの流れを
第三者にチェックしてもらうこと(覆面調査を実施すること)になりました。
(注)三越伊勢丹グループ百貨店では、「販売員」という呼び名を見直し、
お買場で販売する方々はもちろん、お客さまと接点を持つすべての従業員を「スタイリスト」と呼びます。

 

―上記のような流れでショッパーズアイにお声掛け頂いたのですね。1回目の調査実施は2017年3月ですが、
調査対象となった2店舗(日本橋三越本店:50拠点・伊勢丹新宿本店:50拠点)を選択された理由、調査結果から見えてきたことを教えてください。

2店舗はカードの新規発行数が落ち込んでしまっており、三越と伊勢丹の本店でもあったことから調査対象としました。
調査の概要は下記の通りです。

◯調査対象
2店舗にある全100拠点(売場)
日本橋三越本店:50拠点、伊勢丹新宿本店:50拠点

◯調査の流れ
各店舗でエムアイカードについてスタイリストからお声掛けがあるのか、どのような説明があったのか
(スタイリストからお声掛けがなかった場合には、調査員からエムアイカードについて質問する。)
→調査員がカード発行の意思を示し、カードカウンターに案内してもらう
→カードカウンターの対応をチェックする

◯主なチェックポイント
・お声掛け:そもそもスタリストからお客さまにお声掛けができているのか(お客さまがカードを持っているのか、持っていない場合には新規発行を促しているのか)
・説明内容:スタイリストでお声掛けはできているもののメリットが伝わっていないケースがあるのではないか
・カードカウンター:スタイリストからカード発行を受け付けるカウンターに引き継いだ後の説明や対応が良くなく、カード発行まで進む人が多くないのではないか

調査結果から見えてきたことは、カードカウンターの担当スタイリストに引き継いだ後の対応、カードの内容(ポイントの還元率・キャンペーン内容など)
についての評価は悪くありませんでした。実際にカードの発行をするかどうかは覆面調査員に任せていたところ、調査をしてくれた人のうち約10%は
カード発行に至ったことから、店舗スタイリストがお声掛け・説明をすれば(説明の実施率を上げることができれば)、魅力が伝わり、カードの新規発行に
つなげることができるものであるということも確認できました。その時点では、販売員が持って説明するツールはあったものの、どの部分を見て
どう説明すればよいかが明確ではありませんでした。また、お客さまに渡すパンフレットのようなものはありませんでした。この調査結果を受けて、
エムアイカードの内容やメリットを暗記していなくても説明ができるパンフレット(現在使っているもの)の作成を進めることになりました。

 

―2回目の調査は2017年9月に実施しましたが、調査対象となった4店舗、180拠点(伊勢丹浦和店:50拠点、伊勢丹立川店:50拠点、
三越星ヶ丘店:30拠点、三越栄店:50拠点)を選択された理由、調査結果から見えてきたことを教えてください。

2回目調査の実施店舗は、店舗が複数あり重要地域と考えている名古屋の2店舗とカードの新規獲得が好調な2店舗(伊勢丹浦和店、伊勢丹立川店)を選びました。
重要地域の2店舗は現状把握をしたい、カードの新規獲得が好調な2店舗は、他の店舗にも共有できる好事例を見つけたいという目的があり、調査対象店舗として選びました。
調査結果から見えてきたこととしては、下記の点が挙げられます。

拠点(売場)ごとに見ると、1回目の調査同様にスタイリストからのお声掛け・説明ができていないこと、お客さまからカードの内容について聞かれた際に
十分な説明ができていないことが明らかになりました。

店舗ごとに異なる傾向も見つかりました。重要地域の2店舗のうち三越星ヶ丘店は、規模が小さく スタイリストの人数が少ないこともあり、
スタイリスト自身の持ち場を離れるわけにはいかず、スタイリストからカードカウンターに引き継ぐことができていないケースが多いことがわかりました。
また、新規獲得が好調な2店舗(伊勢丹浦和店・伊勢丹立川店)では、キャリアの浅いスタイリストがお声掛けや説明ができていないケースが多いことがわかりました。

 

―1回目・2回目の調査を通して明らかになった課題を解決するために実施すること、今後目指していく方向性などについて教えてください。

2回目までの調査を通して明らかになった「お声掛け・説明の実施率が低いことがカードの新規発行を伸ばすことができていない要因」という点を
解消するための取り組みを始めています。一番大きな取り組みは、1回目の調査結果を見て作成したパンフレットを活用できるようにするための動画作成です。
動画はカードの内容やメリットを暗記するものではなく、新しく作ったパンフレットのどの部分を見ればカードの内容やメリットがわかるのか、
どのようにツールを使って説明するのかが理解できる内容になっています。また、好事例として接客スキルが高くカードの新規獲得も多い5名のスタイリストに
お客さまにカード発行を勧めることをどのように考えているのか、トークのコツなどについてインタビューした動画も作成しています。

この動画を見ることで、カードについてのお声掛けや説明をどの店舗・どの拠点(売場)・どの程度のキャリアのスタイリストでも
できるようにし、お客さまにとってもメリットのあるエムアイカードの発行、ご利用を促進したいと考えています。